会社では人事異動や移転のお祝いで、付き合いのある企業から胡蝶蘭をもらうこともありますよね。
ギフト自体はとても嬉しいものですが
花屋さんに勤めていた頃は、お届け先でよくそんな相談をされていました。
優美な見た目なので繊細な印象を持たれることも多い胡蝶蘭ですが、いくつかのコツを抑えれば育成は決して難しくありません。
そこで初心者の方でも健全に胡蝶蘭を育てられるよう「オフィス内での管理のポイント」をまとめました。
目次
胡蝶蘭の基本データ
名称 | 胡蝶蘭(コチョウラン) |
学名 | Phalaenopsis aphrodite |
分類 | ラン科 ファレノプシス属 |
原産地 | 東南アジア、南アジア、オーストラリア |
※出典:花時間編集部 (編) (2010), 『花屋さんの「花」図鑑』 株式会社エンターブレイン
胡蝶蘭はラン科の植物であり、東南アジアなど温かく湿った地域を原産とする植物です。
他の植物のように地面に根っこを生やすのでなく、「着生」という高い木の上に根付いて生活しています。
多くの品種改良が存在しますが、寒さや乾燥にあまり強くない点は共通。
一つの茎に優美で大ぶりの花が何輪もつくほか、花もちが長い点もギフトとして人気がある理由ですね。
大きな花びらに目を奪われがちですが、肉厚でしっかりとした葉っぱも胡蝶蘭の特徴と言えます。
オフィス内でも胡蝶蘭は育てられる!
観葉植物などは屋内でも育てられますが、基本的に屋内は植物の栽培には向きません。
密閉された空間で風通しが悪いほか、窓際などに置かねば自然光が入らず、空調などの影響もあるからです。
そのため通常の花は1~2週間くらいの短期間で枯れてしまうことも多いですが、胡蝶蘭は良い環境に置けば2~3ヶ月ほども咲き続けます。
オフィス内での基本的な胡蝶蘭の育て方
会社内など屋内で胡蝶蘭を育てる具体的な方法について紹介します。
胡蝶蘭のお世話も仕事をやりながらになってしまうと思われるので、簡単に実践できてかつ効果がある内容について絞って書いています。
ポイントは大きく分けて
- ラッピングは外す
- 置き場所を選ぶ
- 日常的なお手入れ
の3つです。
① ラッピングは外す
法人向けのギフトとして胡蝶蘭をもらった場合、胡蝶蘭はラッピングに包まれて立て札付きで受け取ることが多いと思います。
胡蝶蘭が寄せ植えされている鉢は素焼きのシンプルな見た目のことが多いため、それを隠しギフト用に華やかに見せるためです。
もちろん包み紙があった方が見た目は良いのですが、胡蝶蘭の育成という観点ではラッピングはあまり良くありません。
胡蝶蘭は風通しの悪さによる蒸れに弱く、夏場の室内など多湿の環境でラッピングを付けっぱなしにすると根腐れを起こしてしまうリスクが高まります。
取引先の会社さんからのギフトなのでラッピングを取るのは忍びなくもありますが、もし長期的に育成することを考慮するなら外してしまいたいところです。
②置き場所を選ぶ
胡蝶蘭の置き場所は育てるうえでとても重要です。
環境が良ければあまり手をかけなくても、その場所に適応して生き続けてくれます。
オフィスは植物を育てるために作られた空間ではないので、条件を全て満たすのは難しいかもしれませんが、できるだけ良い場所に置くほど花を長く楽しめますよ。
- 明るさ
- 温度・湿度
- 風通し
- エアコンの風を当てない
- 周囲からの接触を避ける
明るさ
なかなか特徴的な見た目をしていますが胡蝶蘭も植物です。
葉っぱから光合成をしてエネルギーを生産しており、暗い場所に置くと弱ってしまいます。
屋内の蛍光灯だけでは光量が足りない場合もあるので、直接外からの光が差し込む場所が良いでしょう。
ただ夏場など日差しが強すぎる場合は花びらや葉っぱが日焼けしてしまう恐れもあるので、カーテン越しの窓際などがベストです。
温度・湿度
寒さに弱い植物のため、外気が入ってくる場所では夜間の冷え込みなどで一気に萎れてしまうこともあります。
20℃前後が理想的で、とくに冬場は注意が必要です。
理想を言えば常に10℃以上を保てると良いですが、徐々に寒さに慣らしていくと5℃くらいでも屋内であれば耐えてくれることも。
また原産地は高温多湿な地域なので、冬場は空気の乾燥に注意したいです。
とくにオフィス内はカラカラになっていることがあるので、1日に何回か霧吹きをするか、面倒であれば加湿器などで対応することもできます。
風通し
胡蝶蘭に限りませんが植物全般は風通しが悪く、空気が淀んでいる環境が苦手です。
あまり密閉した部屋ではなく、適度に空気が入れ替わる場所に置いてあげましょう。
エアコンの風をあてない
寒くなりすぎないよう温度管理が重要と書きましたが、冷暖房の空調がダイレクトに当たってしまう場所もよくありません。
花が傷んでしまうことがあります。
エアコンの直下や暖房器具のすぐそばなどは避けてください。
周囲からの接触を避ける
胡蝶蘭の花びらはその見た目通り繊細で、外から力が加わるとすぐに破けてしまいます。
床に置くと微妙に目線から外れて人の体や手荷物に引っかかってしまうこともあるので、受付に置く場合などは注意です。
人通りが少ない場所に置きたいですね。
③日常的なお手入れ
胡蝶蘭のお手入れについてよく聞かれることをまとめました。
- 水やり
- 肥料
- 葉水
水やり
胡蝶蘭はたいていその仕立ての本数だけ鉢の中に株(ポット)が入っています。
その隙間を埋めつつ保湿するために水苔が収められているのが一般的な構造です。
水やりの際には各株を目がけて水をあげていくわけですが、まず基本的に胡蝶蘭は多くの水を必要としません!
とくに密閉空間のオフィス内だと水のあげすぎによって、弱らせてしまうことが多いです。
置かれた環境によって必要な水量は違うので一概にこれくらいとは言いにくいですが、1週間に100ml前後が適量。
胡蝶蘭の根は、湿っている状態と乾いている状態が繰り返されることを好むので、一度にたっぷり与えたら、乾燥するまで待つのが基本です。
株を覆っている水苔が完全に乾いたかどうかが、水をやる目安となります。
また冬場は胡蝶蘭も成長を止めるため水もより吸わなくなります。
11月~3月くらいは10日~2週間に1度くらいと水やりの間隔を伸ばしましょう。
肥料
肥料は不要とはいいませんが、気にしてもらわなくても問題ないです。
花が一度散ってしまった後も二番花の開花を目指して栽培を続ける、といった場合のみ適宜与えるようにします。
葉水
水やりと並んで大切なお世話が「葉水」です。
霧吹きなどで根元や葉っぱを潤して軽くタオルなどで拭き取ることで、オフィス内の乾燥によって葉っぱが傷んでしまうことを予防します。
冬場はできれば毎日行うとベストですね。
葉っぱの上にたまったホコリを払うことにもつながり、ハダニといった虫の発生も防ぎやすくなります。
シミになってしまうので花びら自体には霧吹きの水があたらないようにしましょう。
もし胡蝶蘭が枯れてしまった場合の廃棄
花もできればずっと楽しんでいたいものですが、いつかは散ってしまう時が来ます。
一度花が終わっても葉っぱを含めた株自体は生きているので、そのまま育てることもできますが・・・それなりにスペースも取ってしまうので廃棄を検討することもあるかと。
胡蝶蘭はそのままでは捨てられませんが、分解すればゴミに出すことも可能です。
花本体、水苔 | 燃えるゴミ |
---|---|
ラッピング、立て札 | 燃えるゴミ(細かく分けると丁寧) |
ワイヤー、発泡スチロール | 地域のルールに従って分類 |
鉢 | 素材ごとに分別して処分 |
しかし、
ですよね。
家で育てている場合とは違っていくらでも時間をかけられるわけではないので、胡蝶蘭の数が多い場合には業者に引き取りをお願いしても良いかもしれません。
以下のサイトなどでは胡蝶蘭の引き取りなどを受け付けています。
まとめ
- ラッピングは外す
- 置き場所を選ぶ
- 日常的なお手入れ
の3つのポイントから胡蝶蘭の育て方を解説しました。
これらを抑えておけばより長く胡蝶蘭を楽しめるようになります。
無機質になりがちなオフィスに癒やしを与えてくれる胡蝶蘭を、ぜひ長く楽しんでくださいね!
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