胡蝶蘭といえば、鉢からこぼれんばかりに咲き誇る大きな花びらが特徴ですね。
鉢の正面に向かって見事に整列している花姿、実はあれは「仕立て」と呼ばれる手法で、形を整えているからこそ保たれているんです。
胡蝶蘭をより美しく見せるためには欠かせない仕立てについて、解説してみました!
目次
仕立てによって美しい形状に整えられる胡蝶蘭
一般的にイメージされる胡蝶蘭といえば、このような形ではないでしょうか?
株元からすっと伸びた茎が途中で折れ曲がり、垂れるように花びらをつけています。
リボンが巻かれている正面から見ると、しっかり全ての花の顔が見えますね。
法人ギフトなどにも用いられる大輪の胡蝶蘭は、たいていはこの形状です。
ですが、自然界に存在している原種の胡蝶蘭は、このような咲き方はしていません。
このような感じでけっこうバラバラな方向に咲いており、花びらの裏側が見えたりもします。
(市販で流通している胡蝶蘭は度重なる品種改良の末に生み出されたものばかりなので、自然的な花とはいえないかもしれませんが・・・)
ギフトで胡蝶蘭を受け取る機会があったら、少し近づいて観察してみてください。
すると、ワイヤーに茎がテープ止めされているのがわかると思います。
このワイヤーは茎を支えると同時に、茎の向きをまっすぐ整える役割を担っています。
ワイヤーがないと茎は好き勝手な方法に伸びたりねじれたりしてしまい、花びらの向きもばらついてしまうんです。
それはそれで趣もありますが、やはりきちっと整列していた方が見栄えは良いもの。
仕事の取引先にも贈るような、フォーマルなギフトであればなおさらです。
そのため多くの胡蝶蘭は「仕立て」によってきちんと形を整えられています。
仕立てに使われている素材は同系色のワイヤーとテープ or クリップ
胡蝶蘭の仕立てに使われる道具は、金属製で自由に折り曲げ出来る「ワイヤー」と、ワイヤーに茎をつなぎとめる「テープ」が一般的です。
業者や生産地によってはワイヤーと茎を「クリップ」で止めているケースもあり。
テープは剥がす際などに茎を傷めてしまう可能性があるので、家庭で胡蝶蘭の仕立てを実践するならクリップが簡単かもしれませんね。
ワイヤーとテープは見た目に違和感がでないよう、茎の色と同系色の緑~ブラウンの色味が選ばれることが多いです。
胡蝶蘭の仕立てはプロの仕事
胡蝶蘭が商品として完成してお届けされるまでには多くの工程がありますが、この仕立てに関する部分はとくに熟練の技術がいると言われています。
ワイヤーに胡蝶蘭の茎を沿わせていく作業を「曲げ」と呼びますが、たしかに繊細な力加減が必要そうですよね・・・。
無理に向きを変えると茎が折れてしまいそうですが、留め方が緩いと見た目に美しい一鉢になりません。
生産者さんたちの努力によって、品質の高い胡蝶蘭が生み出されています。
垂れ下がるような胡蝶蘭の形・仕立て方は日本独特
ちなみにこのような胡蝶蘭の仕立ては日本独自で、海外では自然のままの姿で販売されることが多いようです。
外国の方は日本の胡蝶蘭を見ると驚くことも多いとか。
自然的なものに人工的に手を加えてより魅力的に見せるやり方は、どこか盆栽などと通じるものがあると感じています。
日本人独特の美意識なのかもしれませんね。
法人ギフトに胡蝶蘭を贈るのであれば仕立ては奇数本立ちが基本
胡蝶蘭を贈る時のマナーの記事などでも書いていますが、あらたまった場所に胡蝶蘭をお届けする際は仕立ての本数は奇数が基本。たいていは3本 or 5本です。
大きなお祝いであれば7本以上が贈られることもありますが、若干特注のような扱いですね。1本立ちもあまり見ません。
末広がりを意味する8本立ちを除けば、会社の2周年お祝いだからなど特別な理由がない限り、偶数本立ちを贈ることは少ないです(とくに4本はNG)。
最近は特殊な形状や仕立ての胡蝶蘭も人気を集めている
胡蝶蘭のギフトとしての歴史は長く、上から下に花びらが枝垂れるような仕立て方はもう不滅のスタンダードのように定着しています。
しかし近ごろは少し特殊な仕立て方、例えば「ハート」や「リング」、「らせん」などの形状に花びらを並べる手法も増えてきました。
結婚式などのイベントや商業施設用の贈り物ではこちらも人気。
通常の仕立てよりもカジュアルな印象にはなりますが、インパクトがあり見る人の記憶に残りやすいギフトです。
胡蝶蘭は定番だけに他と差別化しにくいギフトとも言えるので、贈るシーンによってはちょっと変わった仕立てを選んでみるのはいかがでしょうか?
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